にわかが道をやってくる

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ドイツーフランス戦 そういや俺はシュヴァインシュタイガーを見たことあるんだっけ

W杯チャンピオンと開催国。これまでしっかり強さを見せ勝ち上がってきている充実の2チームの対決は、事実上の決勝戦との呼び声も高いようだ。
勿論、繁忙期で時間外勤務が続いてるからといって見過ごすわけにはいかず、心地良い眠りから無理矢理意識を引き剥がすようにして4時前に起床。もう若くない身体にはしんどいが、スポーツ観戦はリアルタイムでないと一気にテンションが落ちるので仕方がない。

もう幾度となく耳にしているお馴染みの国歌を聞きながら、とてつもなくサッカーの上手い22人の緊張感溢れる表情を見ているうちに眠気も解きほぐれていき、今日の仕事よりも今のサッカーが大事なんじゃいモードが出来上がる。
そしてキックオフ。
余談だが、ルール改正でキックオフを一回敵陣に入れなくても良くなり、センターサークルに二人立たなくなったことについて、見慣れた光景でない違和感以上に、何か寂しさを感じるのは自分だけだろうか?
まあ、様式美的なものとして残してもらいたかったという思いは、頭の固いおじさんの取るに足らない意見なのだろうけど。

それはさておき試合開始。
前半戦最初の10分ぐらいこそフランスが攻勢を仕掛け、キレキレのグリーズマンが何かやってくれそうな感じを匂わせたものの、以降はずっとドイツが主導権を握る。
危険な攻撃を次々に仕掛け、最後の一本さえ上手く収まってれば決定機となっていたであろうシーンが何度も現出し、フランスはほぼ防戦一方。たまに反撃に打って出ても、屈強で寄せが早いドイツの中盤をなかなか突破できない。
もうちょっとだけ歯車が噛み合えば、2年前のW杯で開催国の国民が味わった惨劇が、ここフランスでも再現するのではないかとすら思わせる強さを見せつけるドイツ。
が、時間の問題かと思われたゴールがなかなか生まれない。フランスは人数をかけて必死に守り、前半を耐え抜こうとしている。

前半終了間際、珍しく攻め上がったフランスがコーナーキックからPK獲得。まああれだけ手を上げてしまっていた以上、審判が試合を壊したの何のと文句は言えないのだろう。
全盛期の動きとは程遠く、敵のサイドからの攻撃の多くをむざむざ素通りさせていたエブラが、前半は攻守に抜群に効いており、健在ぶりを発揮していたシュヴァインシュタイガーと競り合うことでPK獲得というのだからフットボールというのは残酷で理不尽で、面白いものである。
もう外す雰囲気がまったく見当たらないグリーズマンがしっかり決め、劣勢だったフランスが1点リードで折り返す。

後半戦。更に攻勢を強めるドイツだが、ビハインドの焦りがあるのか、前半以上にラストパスが決まらない。出し手と受け手の意識のズレが顕著に見える。
徐々に前掛かりのドイツの隙が大きくなり、フランスもチャンスを作れるようになってくる。
そんな中、PKを与えたシュバイニーは、年齢的なこともあるのだろう、明らかに精彩を欠いていき、中盤に君臨しているべき筈なのにいるべきところに姿が見えない場面もチラホラ。

出場停止のフンメルスに加え、ボアテングまで怪我で失ったドイツは守備のミスからさらに失点。
グリーズマンの小馬鹿にするようなゴールパフォーマンスを見ながら、今日は彼とフランス人の日であって、ドイツ人の日では無いことを世界中の人々が認知する。
その後、ドイツは猛攻を仕掛けるが、素晴らしいミドルシュートはポストを叩き、決定的なヘディングシュートはロリスのスーパーセーブに遭った。それはそうだろう。今日は彼らの日では無いのだから。
なお、ゲッツェが途中出場したという説もあるが、ピッチ上で彼の姿を見た者は誰もいないという。

試合終了。フランスが勝った。ドイツが負けた。

丁度10年前、バスティアン・シュヴァインシュタイガーというやたら名前の長い選手が、W杯前の親善試合でまったく必要の無いラフプレーで加持に怪我をさせ、本大会欠場に追いやった。
バイエルンがシーズンオフの集金ツアーで来日し、浦和レッズと対戦した試合を自分は埼スタまで観に行ったのだが、後ろの席の若い女性二人組がバスティアン、バスティアンと嬉しげに連呼しており、加持を壊した奴になに黄色い声上げてんだと腹を立てたものである。
その若く荒っぽいアタッカーは、時を経るにつれ、中盤で違いを作り出しながらも労を惜しまず貢献するプレーヤーとなり、ラームとともにクラブ・代表の支柱となり、最高の栄誉を獲得した。
そして、僚友が去った後の今大会でも、再びの栄冠に向かい、まだ自分は終わってないと言わんばかりの奮闘を見せた。

試合後にネットを見ると、彼はこんな風に評されていた。
「軽率なハンドで試合を台無しにした」
「後半明らかに動きが落ちており、交代のタイミングが遅すぎた」
「戦犯」

遥か遠くの国のプロサッカー選手を気の毒とか可哀想とか思えるほど恵まれた境遇にはいないが。
ふと、あのバスティアバスティアンと嬌声をあげていた女性たちは、今も彼のことを見ているのかな。そもそもまだ代表でプレーしていることを知っていてくれてるのかなとか。
そんなことを思った。