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にわかが道をやってくる

競馬のこととか、競馬以外のこととか。



Euro2016ファイナル フランスーポルトガル

なんだ、CR7ってただの主人公だったんだ。
トロフィーを掲げる彼の姿を見て、改めてそう理解した。

決勝戦ということで硬い立ち上がりになるのかと思いきや、フランスが速く強いプレスを仕掛け、序盤の主導権を握る。
もし早い時間に点が入ったら、そのままポルトガルはサッカーをさせてもらえない一方的な展開になるんじゃないかと思われた矢先、一人の選手が座り込み異変を訴える。世界中のサッカーファン、利害関係者の血の気がひいただろう。
リプレイを見るとパィエの激しいタックルで、いくらの値段がつくか見当もつかない黄金の左足がぐんにゃりもっていかれてる(なお右足はプラチナ)。
その男はテーピングを巻き、一度は戻ったものの、明らかに続行不能。ほどなくして涙を流しながら運ばれていきピッチを後にした。
振り返っての結果論だが、クリスティアーノ・ロナウドは去ることにより、却ってこの試合を支配したのではないだろうか。

加害者となってしまったパィエは、今大会鮮烈な活躍を見せたのが嘘のようにプレイが縮こまり、何とか持ち直そうと奮起するも輝きは戻らず、後半開始早々に交代を余儀なくされる。
彼のみならず、特に前半はフランスのほぼ全選手が躍動感を失い、最高峰の舞台で世界最高の選手を壊したことによるやっちまった感が常に付きまとっている印象だった。
唯一、シッソコが前への推進力を発揮し見せ場を作っていたのがデシャンにとっては救いだったろうか。ああいう良い意味で空気を読まない選手は有り難いだろうなあ。

後半、さすがにプロ中のプロたちがいつまでもナーバスになっていることもなく、攻勢をかけるフランスに、守りを固めつつ隙を窺うポルトガルという大勢で試合は進むが、やはりロナウドの不在は両チームにとって重い。
ポルトガルの攻撃時は、もし前にロナウドがいれば……と想起せざるを得ないし、一方のフランスも対戦相手の最警戒人物がいなくなったことでどうにも守備の的が絞れないような感じだったように見えた。

両GKの活躍もあり、結局スコアレスのまま延長戦へ。

この辺りから、試合の中心はピッチの中の22人ではなく、治療を終え戻ってきた男へと移行する。
延長戦に臨むチームメイトたちに足を引きずりながら声をかけて回るロナウド
ベンチから感極まった表情で熱い視線を送るロナウド
おそらくルール違反だと思うが、テクニカルエリアまで出て行き、監督の横で激励やら指示やらを送るロナウド
こんなん主人公以外の何物でもないじゃないか。

磁場に歪みが生じて何らかの超自然的な力が作用したのか、或いは単なる誤審か、エデルのハンドがコシェルニーのハンドとされ、イエローカードを受けたことで厳しい守備ができなくなり、エデルのゴラッソが生まれてしまった。
クアレスマにアームロックされるわ、彼は散々な120分だっただろう。
得点の瞬間、そして試合終了の瞬間、歓喜を爆発させるポルトガルの選手、監督、スタッフたちの中心には当たり前のようにCR7がいた。
決勝では正味10分程度しかプレイできなかったこの男がチームを優勝に導いたのは誰の目にも明らかだった。たとえそれが錯覚だとしても、みんながそう思い込んでいる以上、それは事実と変わらない。

試合後にグリーズマンポルトガルのプレイスタイルに対して何やら文句を言っていたみたいだが虚しいだけだ。
準決勝のドイツ戦と違い、今日の主役は彼ではなかった。

絶対的な主人公がいるチームが勝ち、その主人公がトロフィーを掲げた。
Euro2016は、ある意味当然の帰結を迎えたのだと思う。

ま。約一ヶ月楽しめて、こういう結末は素直に良かったです。

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