にわかが道をやってくる

競馬のこととか、競馬以外のこととか。



2019 有馬記念 感想戦

どう考えてもキャパオーバーの観衆で溢れかえった中山競馬場にて、たった今目撃したばかりの光景が信じられず、呆然と立ち尽くす男がひとり。いや、同じような人物は何人も何百人も、なんだったら何万人もいたかもしれない。

アーモンドアイは負けた。
パートナーがフェラーリと形容した、常に一頭だけ違う乗り物であるかのような鬼脚を炸裂させてきた最強馬は直線で次々抜かされ、掲示板にすら乗らない、およそあり得ないと思われていた大敗を喫した。

何で? どうして??
一体何故こんなことが起きたのか???

レース後しばらくは思考が停止して、何が起こるか分からないのが競馬、などという何百回と聞いてきた格言が頭の中をぐるぐる回るばかりだったが、ある程度の時が経てば冷静になって気付くところも色々出てくる。

総括しなければならない。次の戦いへと進むためにも。

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◆有馬記念

◎⑨アーモンドアイ
◯⑤フィエールマン
▲⑩サートゥルナーリア
△⑥リスグラシュー
☆⑯シュヴァルグラン

【買い目】
馬連 ⑨ー⑤⑩⑯/⑤ー⑩
3連複 ⑨ー⑤⑥⑩⑯
3連単 ⑨→⑤→⑯

 


【着順】
⑥リスグラシュー △
⑩サートゥルナーリア ▲
⑦ワールドプレミア
⑤フィエールマン ◯
⑪キセキ

アエロリットが外枠から果敢に出していきハナをとってレースを作るという展開までは誰しも想定していたところだろうが、5ハロン58.5という有馬記念としては超がつくハイペースに場内は大いにどよめき、当方も結構な叫び声を上げてしまった。
「速い! 速すぎるだろ!!」

離れた番手のスティッフェリオでも、おそらく1分を切る、これもこのレースとしては十分速いといえるペース。
先行馬が多いとはいえ、有馬記念らしい落ち着いた流れになるのではというこちらの読みは完全に真逆となる。だせえ。

ださくとも馬券が当たれば結果オーライ、幸いアーモンドアイはそこまで前の方にはおらず、中団あたりの位置どり。きっちり伸びて仕留めきれるはず。
コーナーで押し上げていき、直線を迎える。

伸びない。

何度となくこちらの度肝を抜いてくれたあの鬼脚は放たれることなく、次々と抜かされていき、9着。
名だたるGⅠ馬が顔を揃えたレースで単勝1.5倍に推された名牝は、かろうじて二桁着順を免れるという結果に終わった。

敗因は色々あるだろう。

上位がことごとく後方から来ており、仕掛けもアーモンドアイより遅かったところを見るに、あの競馬でも積極的すぎたのだろう。
陣営が言っていた、最初のスタンド前でフィエールマンを交わすときにスイッチが入ってしまったというのも、映像を見返すとなるほどそんな感じだなと頷ける。

そして、これはレース前に気付かなければならなかったのだが、やはり距離というのもあるのだろう。
2400であれだけ圧倒的な勝ち方をしているのだからと、さほど不安に思っていなかったのだが、よくよく考えたらあれは3歳時のこと。
今年はドバイシーマでなくターフ、宝塚記念でなく安田記念、JCや香港ヴァーズでなく香港カップを選択してきたことをもっと重く見るべきだった。今回有馬出走がぎりぎりまで決まらなかったのも、鞍上の問題によるものと思っていたが、常にこの馬を見ている陣営内では悲観論も強かったのかもしれない。

そんな馬が前半で脚を使ってしまい、外外をまわされ、向かない展開で仕掛けのタイミングが早すぎとなると、ああいう結果になってしまうのはむしろ当然だったのかなと。
なお中山適性については、これだけマイナスが重なった割には残り1ハロンまでは勝ち負けの位置におり、一概に向かないとも言い切れないが、アーモンドアイクラスがこの競馬場に用があるとしたら有馬記念のみであり、そしておそらくもう出ることは無いであろう。

とどのつまり、アーモンドアイはフェラーリでもなければ乗り物でもない、他と同じく一頭の競走馬であったということ。
負けるときは負ける馬であり、今回は負けるべくして負けたといったところであろう。
もちろん来年、どこかの大舞台でまたあの凄まじい強さを見せてくれることに期待したい。


一方、完全無欠とも思える強さで有終の美を飾ったリスグラシューには拍手とともに、さすがにヒモに抑えはしてたもののアレコレ難癖つけて軽視していた己の不明を恥じ入るばかり。

宝塚記念での強さを見たままとらえ、打倒アーモンドアイの一番手と評価すべきところ、海外遠征で弱い相手に大外ぶんまわしで勝ってきたことを過剰にマイナス視していた。
コックスプレート参戦を矢作師が「賞金が高くて相手が弱いから」といった主旨のコメントを出していたのもネガティヴに捉えていたのだが、単にどこ出しても勝てるから一番賞金高いところに出したんだなぁと。

中山初騎乗のレーン騎手についても、先行にしろ差しにしろハッキリした競馬を志向する騎手にはクセのある中山を一日でモノにするのは難しいと踏んでいたのだが、まるで的外れだった。
いや、そういうジョッキーであることがマイナスにならない展開であったことと、リスグラシューが強くなりすぎていたことも多分にあるとは思うが、宝塚記念の先行策とうってかわった後方待機で、追い出しも慌てず騒がずだったあたり、武豊にも匹敵する体内時計お化けかもしれないと推測。


その武豊はこれしかないという最後方からの直線一気で3着。鞍上はペース見てシメシメいけるかもしれんぞと思っていたのではないだろうか。
これも馬の強さを見誤っていた自分が恥ずかしくてならない。このメンバーで4番人気?菊花賞1着っていう数字しか見てないマヌケがたくさんいるんだなあなどとほくそ笑んでいたが、一番のマヌケは自分だった。


やはり東京以外ではサートゥルナーリアは強く、積極的にアーモンドアイを倒しにいき4着に残ったフィエールマンもその強さが印象に残った。
アーモンドアイが飛んだ場合の馬券はここの馬連のみだったが、さほど見当違いな馬券ではないものの、圧巻の名牝を軽視し、実力馬へと成長していた菊花賞馬を完全に切っていたのだから惜しくもなんともない。


2〜4番人気で決まり、馬連2,990円、3連複万馬券なのだから、妙味をしっかり考え買い目を組み立てる上手な方や、何も考えず人気馬ボックスで買う方の大勝利。
とんちんかんな理屈をアレコレ並べるわたくしのような浅知恵野郎は大敗北。


大渋滞の地下道で船橋法典に向かおうとは思えず、雨の中西船橋まで歩く。
負けはしたが、若き日から頑張り続けてきた名牝が素晴らしい花道を飾ったレースを目の当たりにでき、非常に良い勉強にもなった生観戦だったのだが、その時はそんな感慨抱くことはできず。
その帰り道では、濡れた路面と自分の靴しか見えなかった。